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映像伝送車用サーバーを追求 納期・仕様要求に応える国産1/4Uサーバーで問題解決
ネクシオンは、テレビのスポーツ中継やイベント中継で、現場で撮影した映像を放送局などに伝送するサービスを手がける。このサービスのクオリティと安定性を左右するのが、現地に派遣する伝送車に搭載する映像の送受信機器だ。案件ごとに千差万別な稼働環境に耐える安定性とモビリティの要求を同時に満たすサーバー探しは、長年の課題になっていた。
映像の送受信機器を自社開発
営業本部技術支援グループ担当部長
吉田 茂様
通信の安定性と速度に対する要求は高まる一方であることから、伝送方法は光ファイバー網を使うのが主流になりつつある。大手キャリアは自前の光ファイバー網を使うのに対して、ネクシオンは独立系の強みを生かし、国内外を含めさまざまなキャリアの光ファイバー網を活用できる体制を整えている。
映像伝送を手がけるプロセスをみると、例えばスポーツ中継で光ファイバー網を活用する場合、会場で複数のカメラで撮影された映像データは、スイッチングなどの処理を施されてからネクシオンに渡される。
ネクシオンは、現地に派遣した伝送車と、データを受け取る同社の映像センターなどに映像送受信機器を配備。伝送車で映像を光信号に変換して送信するとともに、受け取った側で光信号を映像に再度変換し直して、顧客である放送局などに引き渡す。同社は2012年、同社サービスに活用するための映像送受信機器の一つを自社開発し、「ネクシオン・ボックス」と名づけた。
ネクシオン・ボックスは、映像伝送・通信処理を制御するためのアプライアンス製品のようなものだ。同社はもともと、このネクシオン・ボックスの核となるサーバー部分には、1Uサーバーを使おうと考えていたという。ただ、ネクシオン・ボックスは、データの送信元である伝送車に搭載するのが前提。検討の結果、1Uサーバーは大きすぎると判断した。吉田茂・営業本部技術支援グルプ担当部長は、「とにかくモビリティを高めるために、小さいサーバーを探し、最終的に据え置き型のルータのようなかたちの海外メーカー製小型サーバーにたどり着き、ひとまずネクシオン・ボックスを完成させた」と説明する。
冷却機能や納期をさらに改善
一旦は完成したネクシオン・ボックスだったが、実際のサービスに活用するにつれ、さらなる品質向上のための課題もみえてきた。「当初採用していたサーバーは納期が3か月かかる製品だったため、よりフレキシブルな対応を可能にすべく、もっと短納期で手元に届く製品を探したいと考えた。また、このサーバーはヒートシンク構造になっていて熱対策は施されていたが、ファンに比べて冷却機能は劣っているので、念のため外づけのファンを追加したこともあった」(吉田部長)という。
そうこうしているうちに、このサーバーは廃盤になってしまった。そのタイミングと前後して、1シーズンまるごとのスポーツ中継案件を手がけることが決まり、ネクシオン・ボックスを大量に用意する必要も出てきた。そこで、サーバー製品の刷新を検討することになった。それまで採用していたサーバーの後継製品も試してみたが、「期待したとおりの結果が出なかった」ことから、代替製品の情報収集を始め、たどり着いたのが、エーティーワークスの1 /4Uサーバー「Rad Beagle」だったという。
1シーズン安定稼働した新製品
吉田部長は同製品を、これまでの課題をすべて解決してくれたと評価する。「伝送サービスは、容量の大きいデータを常時送り続けるサービスであり、ロスがあってはいけないし、サーバーのパフォーマンスが安定していることが何よりも重要。新しいネクシオン・ボックスは、運用のしやすさも考えて、しっかりラッキングしたいというのも大きなテーマだったため、1Uで冗長構成も取れるRad Beagleは魅力的だった。LANポートの拡張オプションもあり、空冷で熱にも強い。要求が厳しい国内市場で豊富な実績があり、製造からサポートまで一貫して国内でやっているという品質・サービスへの信頼感もあったし、納期もこちらのリクエストにきちんと応えてくれた」。
16年9月から、Rad Beagleを搭載した新ネクシオン・ボックスを使い始め、約8か月間のシーズンをまったく問題なく乗り切った。吉田部長は、「安定した運用が可能だということが証明されたと考えている。当社が手がけるのは単発イベントの案件も多いが、Rad Beagle搭載のネクシオン・ボックスは、1シーズンを通しての伝送にも十分使える。これを横展開して、シーズンものの受注増につなげていきたい」と意気込む。
ネクシオン株式会社
- 所在地
- 東京都新宿区歌舞伎町2-4-10
KDX東新宿ビル8階 - 代表者
- 代表取締役 木ノ内 芳則
- URL
- https://www.nexion.co.jp