Web Beagle Model 500, 600 は3 種類のネットワーク構成に対応しています。 ご利用のネットワーク構成にあわせて最適な構成を選択してWeb Beagle の導入を行ってください。 Web Beagle Model 400 はDSR 型のみ対応していますのでDSR 型でネットワーク構成を行ってください。
それぞれのネットワーク構成の特徴を説明します。
DSR 型の特徴
DSR(Direct Server Return)型はサーバ直接応答とも呼ばれる方式で、次のような特徴があります。
このため、DSR 型ではWeb Beagle はリクエストの振り分けのみを行う動作となり、Web Beagle の負担が少なくなります。
DSR 型は3 種類の動作方式の中で最も性能を発揮できるため、この方式でのご利用をお勧めします。
DSR 型を選択できないケース
DSR 型では、仮想IP アドレス宛のパケットはそのままノードサーバに転送されます。 このため、ノードサーバでは仮想IP アドレス宛のパケットを受けつける特殊な設定が必要になります。 ノードサーバがLinux またはWindows の場合、「2章 - DSR 型における仮想IP アドレス宛の接続を受け付ける設定」 を参照し、設定を行ってください。 ノードサーバでこの設定ができない場合は、DSR 型を利用することはできません。 NAT 型または透過型でご利用ください。
DSR 型の場合、L4負荷分散での設定が推奨されます
L7負荷分散では、アプリケーションレベルでの負荷分散という性質のため、DSR 型ではありましても、
(1) リクエスト:Client ---> WB ---> 実サーバ
(2) レスポンス:実サーバ ---> WB ---> Client
という通信経路になります。
NAT 型の特徴
NAT 型は、ノードサーバにプライベートIP アドレスが設定されている等、Web Beagle の外側と内側のネットワークが異なる場合に利用します。
次のような特徴があります。
外側のネットワークから内側のネットワーク機器への接続手段として基本NAT 機能、NAPT(IP マスカレード)機能があります。 内側のネットワーク機器が外側のネットワークに接続することを可能にするソースNAT 機能も持っています。
透過型の特徴
透過型は、導入対象が一つのネットワークで、DSR 型のようにノードサーバに特殊な設定ができない場合に有効な方法です。 既存の運用システムに比較的容易に設置・導入することが可能となります。
Web Beagle ではL4の負荷分散とL7の負荷分散をサポートしています。
またL4の場合、負荷分散するトランスポートプロトコルをTCP、UDPから選択することができます。
システム環境に合わせて最適な分散方式を選択してください。
各サーバに均等にリクエストを振り分ける方式です。 ラウンドロビン方式は、次のようなシステム構成で効果的な方式となります。
サーバに優先順位を付け、その割合にしたがって、リクエストを振り分ける方式です。
例として、ノードサーバA、B、C において、サーバB はサーバA の2 倍の処理能力、サーバC はサーバA の3 倍の処理能力がある場合、 各ノードサーバへの重み付けをA:B:C = 1:2:3 と設定することでサーバ負荷を均一にすることができます。 次のようなシステム構成で効果的な方式となります。
Web Beagle が各ノードサーバのコネクション状況を常に管理し、コネクション数が最も少ないサーバに振り分ける方式です。 次のようなシステム構成で効果的な方式となります。
Web Beagle が各ノードサーバのコネクション状況を常に管理し、コネクション数と各サーバの重み付けより最適なサーバに振り分ける方式です。 次のようなシステム構成で効果的な方式となります。
ノードサーバに設定した最大接続数を超過しない限り同一のノードサーバに振り分ける方式です。 次のようなケースに効果的な方式となります。
接続元のIP アドレスから算出したハッシュテーブルに従って、次回同じIP アドレスからアクセスがあった場合、前回と同じノードサーバに振り分ける方式です。
keep-alive(接続維持)機能と似ていますが、keep-alive は前回接続時から一定期間の接続を維持するのに対して、 この方式はIP アドレスが同じであれば、常に同じノードサーバに振り分けます。
Web Beagle が各ノードサーバのコネクション状況を鑑み、パケットの遅延が最小と思われるノードサーバ、 つまりもっとも応答速度が速いノードサーバに振り分ける方式です。
最小コネクションと似ていますが、そちらは接続数で振り分けるのに対し、こちらは応答速度で振り分けます。 最小コネクションと同様に次のようなシステム構成で効果的な方式となります。
URIから算出したハッシュテーブルにより、同じURIなら同じノードサーバに振り分ける方式です。 この方式はプロキシサーバ向けです。
クエリ文字列はURIに含みません。
Web Beagle の工場出荷時は、次のようにネットワークが設定されています。
次のいずれかの方法でネットワークの設定を行ってください。 メンテナンスPC を利用した方法では、ネットワーク以外の項目についても設定可能ですので、こちらの方法を推奨します。
Web Beagle の初期設定用ポートとメンテナンスPCを、LAN ケーブルを使用して接続します。 Model 400/500 はポート1、Model 600はポート3(Bonding左側)が初期設定用ポートとなります。
図2-8 のような状態となります。
HUB とLAN ケーブルを使用してWeb Beagle とメンテナンスPC それぞれを接続する方法でもかまいません(図2-9)。 この場合、HUB にWeb Beagle、メンテナンスPC 以外を接続しないようにご注意ください。
Web Beagle の工場出荷時のネットワーク設定は192.168.1.1 / 255.255.255.0 となっています。
メンテナンスPC のネットワークを次のように設定します。
Web Beagle のコンセントを電源に接続し、電源スイッチを押下します。
メンテナンスPC 上のWeb ブラウザにて次のURL を開きます。
https://192.168.1.1:18180/
図2-10 のログイン画面が表示されます。
電源投入後、システムが起動するまで約1 分程度の時間をおいてから、Web ブラウザによる接続を行ってください。
工場出荷時のログインIDおよび初期パスワードは、 装置に添付されているシートのWeb 管理画面のログインID、パスワードを入力してください。
図2-10 のログイン画面が表示されない場合は、次の確認を行ってください。
「2章 - ネットワーク構成例」 を参考にネットワーク設定を行います。
【基本設定】→【ネットワーク】を選択します。
ネットワークの編集については 「5章 - ネットワーク」 を参照してください。
工場出荷時は初期パスワードのため、必ずパスワード変更を行ってください。
【アクセス制限】→【パスワード変更】にてパスワード変更を行います。
管理者パスワードの変更については 「5章 - パスワード変更」 を参照してください。
工場出荷時はどのIP アドレスからも管理画面への接続を許可する状態です。管理画面への接続のセキュリティを高めるため、接続を許可するIP アドレスを設定して制限することをお勧めします。
【アクセス制限】→【接続許可IP アドレス】にてWeb Beagle の管理画面への接続を許可するIP アドレスの制限を行います。 接続許可IP アドレスの登録が無い場合は、IP アドレスによる制限は働きませんが、 1 件以上登録されているときには、登録IP アドレス以外からの接続はできなくなります。
接続元IP アドレスの制限については 「5章 - 接続許可IP アドレス」 を参照してください。
Web Beagle の電源ボタンを押して電源を切ります。
Web Beagle を使用するネットワークに設置し電源を入れると、設定したIP アドレスで起動します。
Web ブラウザでWeb Beagle に設定したIP アドレスを指定して管理画面を開き、設定を継続します。
https://【Web Beagle に設定したIP アドレス】:18180/
Web Beagleがハングアップして応答がなくなってしまった場合、電源ボタンを長押し(4 秒程度)して電源を切ってください。
コンソール接続の場合、設定できるのは、ポート1インターフェイスのIPアドレス、ネットマスク、デフォルトゲートウェイのみになります。
コンソール接続による設定を行った後、メンテナンスPC を使用してWeb ブラウザからその他の項目の設定を行う必要があります。
Web Beagle のD-sub 端子にモニタを接続します。
Web Beagle のUSB 端子にキーボードを接続します。
Web Beagle のコンセントを電源に接続し、電源スイッチを押下します。
モニタにログインプロンプトが表示されますのでログインID とパスワードを入力します。
このログインID およびパスワードは、装置に添付されているシートのコンソールログインID、パスワードを入力してください。
このログインID とパスワードはWeb Beagle の管理画面へのログインID、パスワードとは異なります。 変更することはできません。
ログインに成功するとメニューが表示されますので、ネットワーク設定を選択します。
本設定で設定可能な項目は、LAN1 ネットワークの次の項目に限定されます。
上記以外の設定項目はネットワーク設定後、メンテナンスPC を使用してWeb ブラウザから設定してください。
コンソール管理からネットワーク設定を変更する方法は 「6章 - コンソール管理」 を参照してください。
Web Beagle の電源ボタンを押し、電源を切ります。 Web Beagle を使用するネットワークに設置し、電源を入れると設定したIP アドレスで起動します。 Web ブラウザで次のURL を開き、設定を継続します。 https://【Web Beagle に設定したIP アドレス】:18180/
本手順では、管理者パスワードの変更、接続元IP アドレスの制限は行われておりません。
Web Beagle を使用するネットワークに設置後、Web ブラウザより管理画面にログインし、管理者パスワードの変更、接続元IP アドレスの制限を実施してください。
管理者パスワードの変更方法については 「5章 - パスワード変更」 を参照してください。
接続元IP アドレスの制限については 「5章 - 接続許可IP アドレス」 を参照してください。
DSR 型は図2-11 のようなネットワーク構成の場合に使用します。
ネットワーク構成例のIP アドレスに便宜上、10.1.1.0/24 のネットワークのIP アドレスを使用しております。
DSR 型では、Web Beagle はModel400/500ではポート1インターフェースのみ、Model 600でボンディングする場合はポート1とポート3(Bonding左側)を使用します。 Model 600でボンディングしない場合はポート3(Bonding左側)のみを使用します。 Web Beagle やノードサーバのIP アドレスは、同一ネットワークに属するIP アドレスとなります。
設定例
この例の場合、Web Beagle のネットワークを次のように設定します。
ノードサーバのIP アドレスには、ポート1(Model 600 でボンディングする場合ポート3も使用) のネットワーク(この例の場合10.1.1.0/24)に属するIP アドレスを設定する必要があります。
DSR 型の場合、各ノードサーバに仮想IP アドレス宛の接続を受け付けるように設定する必要があります。
ノードサーバに仮想IP アドレス宛の接続を受け付ける設定については 「2章 - DSR 型における仮想IP アドレス宛の接続を受け付ける設定」 を参照してください。
NAT 型は図2-12 のようなネットワーク構成の場合に使用します。
NAT 型の場合、Model 500 ではポート1、ポート2 インターフェイスはそれぞれ別のネットワークに接続します。 Model 600 でボンディングする場合はポート1とポート3(Bonding左側) 、ポート2とポート4(Bonding右側) の組み合わせでそれぞれ別のネットワークに接続します。 Model 600 でボンディングしない場合はポート3(Bonding左側) 、ポート4(Bonding右側) インターフェースをそれぞれ別のネットワークに接続します。 ポート2、ポート4 は通常、プライベートIP アドレスのネットワークを使用します。ノードサーバのデフォルトゲートウェイはポート2 インターフェイスのIP アドレスとします。
設定例
この例の場合、Web Beagle のネットワーク(ポート1)を次のように設定します。
この例の場合、Web Beagle のネットワーク(ポート2)を次のように設定します。
透過型は図2-13 のようなネットワーク構成の場合に使用します。
透過型では Model 500 の場合はポート2側がノードサーバが接続されるネットワークとなります。 Model 600 でボンディングする場合はポート2およびポート4(Bonding右)側がノードサーバが接続されるネットワークとなります。 Model 600 でボンディングしない場合はポート4(Bonding右)側がノードサーバが接続されるネットワークとなります。 一方、外側ネットワークについては、Model 500 ではポート1 には外側のネットワークと接続しているルータ等を接続します。 Model 600 でボンディングする場合はポート1およびポート3(Bonding左側)の組み合わせで外側ネットワークと接続します。 Model 600 でボンディングしない場合はポート3(Bonding左側)を外側ネットワークと接続します。
Web Beagle やノードサーバのIP アドレスは、同一ネットワークに属するIP アドレスとなります。
設定例
この例の場合、Web Beagle のネットワークを次のように設定します。
ネットワーク構成がDSR 型の場合、各ノードサーバに仮想サービスのIP アドレスを受け取る設定が必要となります。
これは L4負荷分散に設定した仮想サービスのIPには必要となりますが、L7負荷分散に設定した仮想サービスIPについては不要です。
ネットワークの構成変更により、仮想IP アドレスが変更になった場合も本手順を実施する必要があります。
以下のコマンドを実行します。
# iptables -t nat -A PREROUTING -d 仮想IP アドレス -j REDIRECT
ネットワーク構築例(図2-11)の場合は、以下のコマンドを実行します。
# iptables -t nat -A PREROUTING -d 10.1.1.10 -j REDIRECT
以下のコマンドを実行します。
# firewall-cmd --permanent --direct --add-rule ipv4 nat PREROUTING 0 -d 仮想IPアドレス -j REDIRECT
ネットワーク構築例(図2-11)の場合は、以下のコマンドを実行します。
# firewall-cmd --permanent --direct --add-rule ipv4 nat PREROUTING 0 -d 10.1.1.10 -j REDIRECT
ループバックデバイスがすでに追加されている場合は、次の手順へおすすみください。
コマンドプロンプト上で下記のコマンドを実施してください。
C:¥> netsh interface ipv4 set interface ”Local Area Connection” weakhostreceive=enabled
C:¥> netsh interface ipv4 set interface ”loopback” weakhostreceive=enabled
C:¥> netsh interface ipv4 set interface ”loopback” weakhostsend=enabled
“Local Area Connection” と “loopback” の部分は、お客様環境のネットワークデバイス名に置き換えてご変更ください。
Windows Server 日本語版だと”Local Area Connection” は「ローカルエリア接続」などで表記されております。
コントロールパネルから、「ネットワークとインターネット」→「ネットワーク接続」にて名前を確認してください。
ループバックデバイスがすでに追加されている場合は、次の手順へおすすみください。
コマンドプロンプト上で下記のコマンドを実施してください。
C:¥> netsh interface ipv4 set interface ”Local Area Connection” weakhostreceive=enabled
C:¥> netsh interface ipv4 set interface ”loopback” weakhostreceive=enabled
C:¥> netsh interface ipv4 set interface ”loopback” weakhostsend=enabled
“Local Area Connection” と “loopback” の部分は、お客様環境のネットワークデバイス名に置き換えてご変更ください。
Windows Server 日本語版だと”Local Area Connection” は「ローカルエリア接続」などで表記されております。
コントロールパネルから、「ネットワークとインターネット」→「ネットワーク接続」にて名前を確認してください。
ループバックデバイスがすでに追加されている場合は、次の手順へおすすみください。
コマンドプロンプト上で下記のコマンドを実施してください。
C:¥> netsh interface ipv4 set interface ”Local Area Connection” weakhostreceive=enabled
C:¥> netsh interface ipv4 set interface ”loopback” weakhostreceive=enabled
C:¥> netsh interface ipv4 set interface ”loopback” weakhostsend=enabled
“Local Area Connection” と “loopback” の部分は、お客様環境のネットワークデバイス名に置き換えてご変更ください。
Windows Server 日本語版だと”Local Area Connection” は「ローカルエリア接続」などで表記されております。
コントロールパネルから、「ネットワークとインターネット」→「ネットワーク接続」にて名前を確認してください。
仮想サービスの設定について、図2-12 DSR 型ネットワーク構成でTCPのポート80上の通信をL4負荷分散をする場合を例として説明いたします。 説明中のIP アドレスも図2 -12 の場合と同様の例で説明いたしますが、実際に使用するIP アドレスを設定してください。 他のネットワーク構成の場合でも設定項目に違いはありません。
分散方式ついては 「2章 - 分散方式について」 を参照してください。
以上で仮想サービスの設定は完了です。
Web Beagle を接続する上位スイッチがSTP をサポートしている場合、 STP がWeb Beagle の冗長化機能のパケットを妨げ、フェイルバック発生時に一定期間仮想サービスへの通信が行われなくなる問題が発生します。 この問題を回避するため、以下のいずれかの対策を実施してください。
L4 の仮想サービスに1台のノードサーバを複数仮想サービスに登録する場合、 ノードサーバを無効にする操作をおこなうと仮想サービス単位ではなく、 無効操作をしたノードサーバが属している全ての仮想サービスで無効になります。
1台のノードサーバを複数の仮想サービスに登録している場合、 特定の仮想サービスでのみ、無効にすることはできないのでご注意ください。
1台のノードサーバを複数の仮想サービスに登録している場合に、 特定の仮想サービスでのみ無効にする場合は、 ノードサーバの登録自体を削除する方法をとる必要があります。
上記の現象はL4 負荷分散エンジンのLVS の仕様となります。
L7 の仮想サービスの場合は上記のような現象は発生しません。